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2012-02-02(Thu)

普通に生きたかった俺の人生について語る

1:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 00:24:27.74 ID:eaOHjyBQ0

もし立ったら、普通じゃない自分の人生について適当に書いていく。
理由はただ書きたいから。
ただし劇的な何かがあるわけでもなく、中途半端に普通じゃないぐらい。
需要がなければ下がって消えるだろう。


6:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 00:27:57.83 ID:eaOHjyBQ0

生まれた家は恐らく、中の中~上ぐらい。
普通にスーパーファミコンやソフトを年間1~2本買ってもらえた。
親が貿易関係で、生後まもなく海外へ。
しかし、現地の言葉を覚える前に2歳で帰国。
日本語の発達が遅れ、3歳にして保育園でいじめられていたらしい。


8:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 00:29:48.23 ID:eaOHjyBQ0

幼稚園でもいじめられていたらしいが、記憶にはない。
自分の中では普通だったが、早生まれだったこともあって運動能力では非常に劣っていた。
なお、あまりに手がかかるので母が仕事をやめ、つきっきりで世話することになる。
非常に問題児だったらしい。


10:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 00:31:47.05 ID:eaOHjyBQ0

で、公立の小学校に入る。
当時、近所で仲良くしていた友達Tと一緒に通えるのが嬉しくて仕方なかった。
近所にあった保育園と幼稚園は、言語発達が遅れていた自分をいれてくれなかったので
遠くのところに通っていたから。
しかし、小学校入学からいきなり社会の洗礼を受ける事になる。


12:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 00:36:11.90 ID:eaOHjyBQ0

小学校に入学した生徒の半分は地元の幼稚園出身だった。
残りの生徒もその幼稚園出身のやつと友達だった。
が、自分の友だちはTだけ。
入った瞬間にコミュニティの序列ができていた。
小学校ではかけっこの早い奴がヒーローになるが、早生まれの自分は遅い。
1年生からぼっちを経験する。


13:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 00:40:10.74 ID:eaOHjyBQ0

小学生というのは残酷で、できないやつをとことんいじめる。
自分は喧嘩も強くなかったし、口も回らなかった。
何かを言い間違えるたびにクラス中から指摘され、何か成功すると
「自分のくせに生意気」と言われる日々が続く。

Tは違うクラスだったが、大勢にいじめられているときに積極的に
助けてくれることもなかった。
1年生から学級会議で「自分君と仲良くしてあげる」という議題が
2回あったことだけ覚えている。

仲良くできたのは知恵遅れのY、別クラスでやはりいじめられていたK、
そして大勢でいない時のTだけだった。


14:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 00:48:59.42 ID:eaOHjyBQ0

外で遊んでいるといろいろ言われるので、ゲームで遊ぶ日々。
言うことはたいてい否定されるので「自分がいうことだから間違いかもしれないけど…」
という前置きをしてから話すのが癖になっていた。

授業中はとなりの席のやつから必ずちょっかいを出され、やり返すと
「自分君が○○します!」
と先生に言われる。
我慢していると先生から見えない位置で脇腹を殴ってくるのでやり返すが、
自分に誰かがちょっかいをだすことで授業が止まるので、問題児扱いされた。

「いじめられる方にも原因がある」
「やり返さないでいれば相手も飽きる」

じゃあ机の中を水浸しにして、腹殴られても黙っていればいいのか。
自分が殴られて、やり返すと「自分の1回やったら当然2倍やり返す」という
常識で2倍殴られていた。
そんな日々だったが、ある時決定的に切れる瞬間が来る。


15:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 00:54:31.98 ID:eaOHjyBQ0

今まで仲良くしていたYの態度が変わった。
Yは2年生までいじめられていたが、掛け算や割り算がうまくできず
「ああ、知恵遅れでかわいそうなんだな」
と学年内ではっきり認識され、いじめられなくなっていた。
でも仲良くしていたはずなのだが、あるとき突然

「自分君は格下だから言うことを聞け」

と言い出す。
同じ境遇だったと思っていたのに、ショックだった。
Yは体の成長も遅く、普通にこられても負ける道理はなかったが、
Yにいらんことを吹き込んだ連中が自分を羽交い絞めにし、Yは俺を傘で刺した。


16:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 00:54:41.82 ID:PDkUrKpa0

読んでるぞ


17:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 00:59:17.86 ID:eaOHjyBQ0

さすがに俺は切れた。
まず、いじめ集団がいないときにYを殴った。
たぶん、渾身の力を込めたと思う。
Yはすぐ泣いて、「TK君がやれって言ったから」と言った。
が、傘でやられたとき、明らかにやりたくてやっている顔だった。
だからもう数発殴った。

しかし、一番許せないのはTKだ。
4年間、ひたすら俺は殴られた。
そしていま、Yに要らんことを吹き込む。
俺はどこかで見つけた錆びたナイフ?ナタ?今となってはよくわからんが、
そんなものを隠し、公園に呼び出してTKを刺す作戦を練り始めた。

>>16
もう誰も読んでいないかと思った。


20:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:05:02.91 ID:eaOHjyBQ0

きっちり武器を隠し、その時間帯に人がいないことを確認し(と言っても
小学生の浅知恵で、車が通るので今冷静に考えると人通りはあった)
果たし状を送った。

「○日16時に○○公園で待つ」

当時、TVの独占権が祖父にしかなく、時代劇しか見られなかった俺は
そんな内容で時代劇風の果たし状を学校でTKの机に忍ばせた。
脇道にそれるが、アニメを見られなかったりお笑い番組を見られなかったのが
クラスのなかで溶け込めなかった一因かもしれないと今は思う。

そして、実行の日がきたが、計画が実行されることはなかった。


23:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:09:32.42 ID:eaOHjyBQ0

Yの親が「うちの息子に暴力を振るった奴がいる」と学校に怒鳴りこみ、
指定の時間に自分の親に怒られていたからだ。

「いじめの苦しみを知っている自分がそんな事をするとは思わなかった」

目の前で親が泣き崩れ、「Yがやってきた」と言っても聞いてくれなかった。
先生は「いじめられる方にも原因があるんですよ」みたいなことを
繰り返し行っていた。
「TKを殺して自分も死ぬ」と息巻いていたが、全てを知っているはずの親が
一方的に自分の敵になったショックで全てがどうでもよくなった。
学校から速攻で帰り、ゲームをやる日々になる。


24:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:10:52.22 ID:iD8tS3u70

見てるよ


25:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:11:57.36 ID:eaOHjyBQ0

だが、そんな日々にも変化はある。
ませガキだった自分はとなりのクラスのHが好きになった。
自分を殺して、嫌いな奴と仲良いふりしても彼女の前ではいい顔をしたかった。
同じ委員会になったり、Hが来る集まりに行こうとしたり、好きなものを調べたりした。


26:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:13:58.91 ID:eaOHjyBQ0

だが、日々いじめられていた自分に何が出来るだろうか。
大勢でいるときはハイテンションで発言して失敗し、なにかあればどもり、
1回なにかつまずくと1日テンションが低くなり…。
立派なコミュ障であった。

しかし、Hは普通に話してくれたし、バレンタインの日にチョコをくれたりもした。
Hのクラスはともかく、自分のクラスではHの義理チョコをもらっていない奴もいるのに!


27:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:16:04.56 ID:eaOHjyBQ0

思い高まった小学6年2学期ある日、思い切って告白した。

H「ありがとう、でも2学期で引っ越しちゃうから。
気持ちは嬉しいけど」

文通でも、と言ったがダメだった。
でも、優しい振り方でHはやっぱりいい子だったんだと思った。


29:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:19:59.17 ID:eaOHjyBQ0

そして、Hは本当に転校していった。
これはこれでいい思い出…と思ったがそうは問屋が卸さない。

3学期のある日、先生不在で自分たちで考えた議題で話しなさいという日。
休み時間に図書館から帰ってきて黒板に書いてあった文字を見て愕然とした。

「自分くんがHに告白してどれだけ迷惑かけたか考える」

とでかでかと書いてあった。


30:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:20:26.17 ID:eaOHjyBQ0

30代、男、無職。


31:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:24:48.07 ID:eaOHjyBQ0

小学生としては告白が知られていた事だけで地獄である。
が、それに続くものが衝撃的だった。
まず、女子が転校したHからもらった手紙を読み上げた。
・自分くんが1度電話してきてどうやって切ろうか困った
・かわいそうだから優しくしていたのに勘違いされた

続いて、別の男子が言った。
「Hは俺のことが好きだから、俺に告白してきたよ。
Tのことも全部言っていたけど、身の程知らずだよな!」

2年間の恋を呪った。


32:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:25:00.29 ID:iD8tS3u70

俺も>>1に少し近い境遇だ
小学校と高校の体験がトラウマで上手く人に心を開けない
イジメの影響って一生もんだよな


35:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:30:59.28 ID:eaOHjyBQ0

>>32
でも、今更いじめられた経験が…って行っても世の中どうにもならないしからなぁ。
誰に話してもしょうがないので書き始めた。
見てくれてありがとう。


34:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:30:03.73 ID:eaOHjyBQ0

その後、事あるごとに女子からはキモい扱い(元々扱いは低かったが)をされた。
女子の情報ネットワークはすごく「○日の○時○○してたでしょ、きもい」
など、まさかということを時折指摘され、口で勝てないので追いかけると
「女子に暴力を振るう」
と学級会で吊るし上げられた(なお、その時点でも体の大きな女子には
勝てなかった…)。
どこかで女子に話したことややったことは女子全員で共有されている。
もう、女子というものが怖くなった。

同級生とはK以外と遊ばなくなり、それ以外の同級生と遊んでもいいことが
無いので、下級生の面倒を見ていた。
後は図書館で本を読むとか。

卒業アルバムでは「みんなが生徒の良いところを書く」企画があったが、
他の同級生が色々書かれているのに対して自分は「本をいつも読む勉強家」
と全員一致であった。


36:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:33:49.19 ID:eaOHjyBQ0

さて、女子がすっかり怖くなった自分は勉強して受験し、男子校に入学することとなった。
違う環境にいけば、1からやり直せるのではないか…。
そういう期待と共に入学。
1学年小学校のときの6倍の人数。
心躍った。
入学式の時となりの人に挨拶したら挨拶が帰ってきて「よろしく」と言われる。
それだけでも嬉しくて心躍った。


37:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:41:48.79 ID:eaOHjyBQ0

当時、西武ライオンズがダントツに強く、野球に憧れていた。
中学デビューは野球部から始まる!
中1で165cmあった自分は野球部の入部届けを出すときもそこそこ目立ち、
短距離走も同学年で一番早かった。
しょっちゅういじめっ子から逃げ回っていたのがこんな所で役に立つとは。
人生なにが役立つかわからない。
が、心躍らせて野球部に入部届を出し、練習初日。
自分はキャッチボールでボールを受けそこねて頭にぶつけ、保健室送りになった。

そして、何回かキャッチボールしてわかった。
小学校では先生に見つからずに相手を攻撃できるのが腹だったので、常に
腹をガードしていた。
危険が迫ると腹をガードする癖がついていたのだ。

キャッチボールで目の前にボールが迫った時、とっさに腹をガードして
頭にボールがあたり、その癖は即座には治らなかった。
とっさにボールが来ると腹に手を当ててしまい、頭に2回目の硬球を
うけたとき、野球部をやめた。
高めの慎重を運動で活躍したかったのに、スラムダンクで当時人気だったバスケも、
バレーボールもダメだった。
速いボールが受けられないから。


40:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:46:15.69 ID:kUj55g7B0

>>37
何て悲しい…


38:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:45:11.42 ID:5qTuSGg70

つ陸上部


41:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:46:20.09 ID:eaOHjyBQ0

「キャッチボールで受け損なって野球部をやめた根性なし」
そんな話は学年を駆け巡り、また小学校からのコミュ障が復活し、図書館で
本を読む日々が始まった。

いま客観的に見ると「自分は正しいのになぜ不幸になるんだ」という思いがあって、
常に「周りがおかしい」という意識で動いており、なおかつ上手くコミュニケーションが
とれない、絶対に友だちになりたくないタイプであった。
いじめられる方にも原因があるというが、こんな方向になるとやっぱりドツボなんだと思う。


42:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 01:53:33.97 ID:eaOHjyBQ0

しかし、中学生活はそこまで悪くなかった。
なんというか、全体にみんな前よりも大人だったし、暴力沙汰は少なかった。

特に良かったのは仲間ができたことだ。
最初はハブられ組のオタク集団にもハブられていたが、あるときオタク集団が
あまりに迫害され(当時はオタクと言えば非常に立場が低かった)、人数が少なく
なってしまい、自分と仲直りを申し出てきた。
その中でようやく、溶けこむことができたのだ。
流行りからだいぶ遅れてだが、ロードス島戦記や銀英伝などの現在ほど市民権がなかった
オタク小説、アニメの類にはまっていった。

しかも、それだけでなくマラソン大会で自分は常に早かった。
上位10位以内に食い込み、「運動できるオタク」としてクラス内で地位を築いていった。
学生時代で一番この時期がバラ色の時期だった。


43:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 02:02:04.59 ID:eaOHjyBQ0

そして、高校から陸上部と英語部を兼部し、陸上部でも喜ばれた。

だが、やはり万事は上手くいかないもの。
クラスにMという男がいた。
Mは宅八郎のような雰囲気の男で、別にオタクではなかったが暗かった。
成績は悪くないが、長髪でなよなよしており、運悪く不良集団に目を付けられてしまった。
この不良集団は学内でもタチが悪く、高校時代で珍しい留年を食らうほど荒れていた。

彼らはMの椅子に画鋲を貼り付けたり、教科書を隠したりした。
殴られていることもあった。
そんなMを見るのは小学校時代の自分を見ているようで辛かったが、自分がいじめの
対象になることも目に見えていたから、こっそり教科書を戻してあげたりする以外は
何もしていなかった。


44:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 02:08:08.96 ID:eaOHjyBQ0

しかし、椅子に有刺鉄線を巻きつけられているのを見るに至ってもう我慢できず、

「やめろ」

と言ってかばうようになった。
「いい格好するんじゃねぇよ」
といじめグループに言われたが、目の前で机に何かしても自分が元に戻し、
教科書も弁当も守った。
それ以来Mにはあまり何もされなくなり、事態は収束したかに見えた。

しかし、逆に影でMへの暴行やいじめが激しくなり、1ヶ月後にMは学校を
辞めていった。
そして、それと同時に自分の教科書が行方不明になったり、弁当箱がゴミ箱から
発見されるようになった。


45:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 02:08:58.40 ID:eaOHjyBQ0

多分、中学2年ぐらいから上手く行き始めて「今ならいける!」という思い込みが
あったんだと思う。
こうなったら自分を守る人はおらず、実際は受け入れられているというより何をやっても
放置されていたという現実をしった。
また、自分が何かしても逆に悪いことが起きるのではないかと思って積極的に
何かをする気になれなくなった。


46:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 02:12:48.18 ID:eaOHjyBQ0

さらに悪いことに、足の親指が腐りかけていた。
巻爪に気づかず、放置した結果だった。

肉を削いで、爪を抜いて対処していたが、ずっと治らない。
とある病院に巻爪(陥入爪と正確にはいうらしい)を治す名医がいると聞き、
手術して治してもらうまで1年。
走れるようになった頃には足は遅くなっていて、マラソン大会では最下位に近かった。
結局、陸上部に入ったが数回の練習だけで走ることはなかった。


48:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 02:17:03.58 ID:X2XZAZLw0

いじめ止めるとか男前やん


49:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 02:18:00.86 ID:eaOHjyBQ0

そして、絶望して陸上部は辞めた。
が、陸上は「足が早いから」と誘われただけなので、ショックは比較的少なかった。
本命は英語部だったのだ。
海外の人達と文通し、順調に部活は続けていった。
部活のメンバーはオタクが多く、クラスでの自分の立場と関係なく付き合えた。

「自分はもう、英語で生きていく。」

幼い頃から貿易系の仕事に就きたかった。
ついでに素晴らしい文化であるアニメや漫画を海外に広めることが出来ればいい
などと漠然と考えていたし、これがあればまあ、他のことは我慢できると思っていた。


50:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 02:21:51.73 ID:eaOHjyBQ0

クラスでは虐めにあいつつ、速攻で英語部に行く生活になっていた。
英語部のメンバーがいなければ、自分も学校をやめていただろう。
本当に英語部のメンバーには感謝している。

そして、学校で「しょっちゅうケンカする(しかも負ける)問題児」
とされつつも英語部の部長を努め、まあまあな成績で推薦を勝ち取って
大学に行くこととなる。


51:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 02:22:18.91 ID:eaOHjyBQ0

なんとここまで続くとは。
感謝。
そろそろ書きたかったところに入っていく。


53:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 02:27:00.13 ID:eaOHjyBQ0

大学に入るとすぐ、英語研究部の門を叩いた。
そして、驚く。

「受付が女子!」

はっきり言ってちょうどもった。

「英語の資格ある?」
「え、えいけ、け、ん、に、にきゅふ」

これぐらい挙動不審。
長い時間の中で自分の中で、同年代女子というものはよくわからなくなっていた。
なんというか、この時期でも女の知り合いと言えば母と親戚、近所のおばさん
ぐらいのものだった。
いい思い出もないし、最後は中学で小学校時代の女子に道端で会い、
「キモッ!」
と言われたぐらいだ。


54:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 02:28:26.60 ID:eaOHjyBQ0

小説や漫画の中で出てくるヒロインとヒーローの恋愛に憧れつつも、
現実には自分が「キモッ!」と言われる存在であることを認識しており、
それでもやはり恋愛に憧れ、女性というものと話してみたい…。
そんなジレンマを抱えていた。


55:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 02:32:22.30 ID:eaOHjyBQ0

さて、ここで大学の英語部というものを軽く紹介しよう。
ほとんどが海外留学や海外旅行に憧れる女子で構成され、男子は少なくとも雰囲気イケメン
でリア充ばかり。
海外からの留学生が混じっていたりして、だいたい英語部の女子の誰かとくっついている。
男子留学生いわく「海外に憧れる女子をコマして日本語を覚えれば一石二鳥」という。
なぜか、女子留学生はいない。

その大学では、女子は学内でも指折りのレベルの高さだった。
そこに自分が混ざった時の違和感と言ったら…。


56:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 02:40:42.66 ID:eaOHjyBQ0

当時、自分はリュックにシャツを入れているという見るからにオタクルック。
その上、女子とも上手く話せなかった。
女子の前に来ると何を言えばいいかわからなくなる。
目の前に超憧れていた女子、しかも学内でも指折りの美人がいる。
それだけでもう会話は終始緊張し、しょっちゅうちゃらんぽらんな受け答えをしていた。

話したい、でも話せない。
英語部の経験のお陰で英語に関する話や、アメリカの文化的な話題だけはできたが、それだけ。
程なくして英語部内でも「キモい」と言われるようになる。

話しかけたいけど話の輪に加われず、後ろでもじもじしている自分に影でついたあだ名は
「ストーカー」だった。


57:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 02:43:22.17 ID:eaOHjyBQ0

入部して3ヶ月目にして、女子から「キモイから辞めて欲しい」と言われていたことを
雰囲気イケメン男子から聞く。
つまるところ、彼は英語部の合宿(と言うなの仲良し旅行)を前に自分に辞めて欲しかったらしい。

シャツ入れを辞め、自分なりに外見に気をつけ始めた矢先にこう言われて、ショックで英語部を
やめた。


58:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 02:49:59.03 ID:eaOHjyBQ0

同学部の女子も自分には寄り付かず、結局大学でできた友人は英語部で知り合った
アメリカからの留学生L、女子で英語トークが本気で好きだったM子だけ。

M子
「自分君は英検2級で雰囲気イケメンよりまじめに英語やっているのに、やめる
 なんておかしいよ。雰囲気イケメンは後輩の女の子としかしゃべっているだけで
 英語は殆どできないのに」

L
「僕はアメリカではナードと言われていじめられていたけど、
 こっちでは簡単に彼女ができる。
 自分はエキゾチックでかっこいいのに、なんでそんな事言われるかわからないね。
 もっとアニメの話がしたかった」

ふたりともいいやつだった。
しかし、Lはチェックのシャツにリュックサックで、シャツ入れでも格好良く、
細い感じ。
わざわざ自分と同じファッションで英語部に行く実験をしていたが、※を地でいった。


61:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 02:56:30.74 ID:eaOHjyBQ0

その後、アニメ研究会に入った。
Lがアニメ研究会にも入っていたからだ。

だが、萌えアニメがまったく理解できなかった自分はアニメ研究会でも異端だった。
迫力のロボットバトルや、漢気あふれるストーリーが好きだったのだ。
ダンバインやキングゲイナーについて話せるのはLだけ。

そして、腐女子の皆様と折り合い悪く、程なくアニメ研究会も追われた。
もう、同年代の女子とは怖くて話せなくなっていた。
何をいっても気持ち悪く思われるような気がして言葉がでない。
唯一M子だけが話せる女子だったが、なんというか、恐らく恋愛しようという気を
起こさせない女子だったからだと思う。

ちょっと、女子と意識するともう誰とも話せなかった。
あとはLの彼女だけ(Lはアニメ研究会と英語研究部両方に彼女がいた…)。
今思うと他人の彼女は恋愛対象じゃなかったからだろう。


62:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 03:01:55.77 ID:eaOHjyBQ0

そんな感じで、部活を追われ、Lとゲーセンに行ったり、バイトに精を出す日々が続いた。
バイトの現場の人達は芸能人の話題や、歌の話題が重要なようだった。
が、時代劇の俳優がわかるぐらいだった自分は「ミスチル」とか「ドラゴンアッシュ」
とか言われても何もわからず、「なにこいつ」という扱いであった。

やはりバイトでも溶け込めず、努力すると空回りし、お荷物な気がした。
(実際はわからない、そういう気がしていたがバイトは続いた)

そして、そのまま大学を出て、幸運にも幼稚園から夢見ていた貿易会社に
入ることとなる。
自分は英語しかないと思っていたので、社会人のおばさんやおじさんが多い
英語サークルにL・M子と通い、そこで会ったおじいさんのコネでそのまま
入社した。
自分で言うのもなんだが、おじいさん・おばあさん、年配者のウケは非常に良かった。


63:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 03:03:22.35 ID:eaOHjyBQ0

貿易会社に入社が決まった日、L・M子がささやかなパーティーを開いてくれた。

「自分、貿易を通じて絶対に日本の役に立つぜ!」

そんな話をしていた。


64:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 03:05:55.54 ID:eaOHjyBQ0

ここまで見返してみると、なんというか起伏がないなぁ…。
特定されないようにちょっとずらしたりしているけど、このまま自己満で終わる予感。
読んでくれる人に感謝。


65:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 03:12:18.44 ID:eaOHjyBQ0

夢にまで見た貿易会社の仕事が始まる。
自分の役どころは、海外からきたメールを日本語にして偉い人に投げたり、
逆に簡単な挨拶や連絡のやり取りを海外に投げる仕事。
電話も取る(取次だけだけど)。
新人は教育係がついてこれを行う。
契約とか重要な書類はベテランが担当していた。

本当に夢のような仕事で舞い上がっていた。
社長さんが来て
「○○、仕事場はどう?大丈夫か?」
(○○の部分は聞き取れなかった)と言われ、
「まさか英語で食べられると思っていなかったので嬉しいし、仕事場の人も良くしてくれてます」
という意味の内容で返した。

日本のために意味のある貿易を助けている、それが嬉しくて仕方なかった。


67:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 03:17:24.37 ID:eaOHjyBQ0

しかし、そんな貿易会社で早くも難問にぶち当たる。
職場は男だらけで超リア充の集まりだった。
出張など行く先々の国で女を買い、休み時間メインの話題は

「○○の国の女はどうだった」
「彼女が○○でさぁ…」

とか、まったくついていけない。
彼女とか、夢の産物である。
しかも、自分が夢見る「彼女」や「奥さん」がいるというのに、浮気したり女を
買ったりして比べる話題をしているというのが不思議と言うか、聞いていて苦痛だった。

自分に話を振られて、彼女いない歴=年齢というと、職場の部長が
「彼女ができないやつって何かしら精神に欠陥があるよな」
と言ってネタにした。

自分もコミュニケーション力に欠陥があると思っていたが、憧れの職場で
働くベテランに言われるとテキメンに効いた。
自分のコミュニケーション力について、時間があるときに悩むようになった。


68:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 03:21:11.12 ID:eaOHjyBQ0

何としても、職場の輪に入りたい。
徐々に浮きつつあった自分を挽回したかった。
そこで、職場で毎日行われていた麻雀大会に参加することにした。

麻雀は初体験だったが覚えた。
1月目は給料をかなり巻き上げられ、結構苦しかった。
英会話スクール、家賃などに取られ、その月は貯金が出来ない程度に負けた。
本当に先輩たちは魔法のように勝っていく。
しかし、麻雀の話ができるようになって少し職場に溶け込めた気がした。


69:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 03:27:06.36 ID:eaOHjyBQ0

が、同時に自分は心を病んでいっていた。
結局、メインの話題は女の話。

そして、「彼女もいた事ないくせになぁ」という雰囲気が間違いなくあった。
先輩たちは口には出さないが、同僚にはそれを毎回のように言い「童貞だからお前嫌い」
と正面きって言われていた。

以前から芸能関係の話題についていけず、劣等感を感じていた自分は
「やっぱり自分は普通じゃない、この年齢の人間は恋愛ぐらいしているのに」

なんというか、ステレオタイプの「普通」というものがあり、
そのなかに「恋愛」がかならずあり、ほとんどの人はそれを体験している
ものだと思っていた。
英語系のサークル・部活はリア充の集まりで、
「私は恋人を作らなかったことはあるけど、欲しくていないときはないよ」
とか、そんな会話が普通に出てくるような場所だったし。
自分と仲の良いLはもちろん、M子だって彼氏がいたことがあった。

日に日に「自分は普通じゃない」という焦りが強くなっていった。


70:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 03:34:04.62 ID:eaOHjyBQ0

そんなとき、自分に遅れること1ヶ月、入社の遅い同僚、つまり後輩がやってきた。
海外から来るので遅くなったらしい。
普通に会社に溶け込んで、問題なく仕事をこなし、シモネタは程々に流して
自分でも入れる話題を振ってくれる。
後輩Iは非常にありがたかった。

先輩から

「I君が来たから、へっぽこが増えて自分くんの麻雀も楽になるね」

と意味ありげに言われた。


71:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 03:36:58.98 ID:eaOHjyBQ0

そして、I君の初麻雀の日。
自分は先輩に呼ばれた。

「今から、新人歓迎の方法を教えるから」

つまるところ、イカサマサインである。
1番の新人はイカサマに気づくまで巻き上げられるのがお約束だったらしい。
自分が驚くほど負けたのもこのせいだった。

「2ヶ月ぐらいかからないと普通は気づかないが、1月で交代した自分は運がいい」

らしい。


72:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 03:40:57.23 ID:eaOHjyBQ0

このとき、ことあるごとに「○○は普通じゃない」という意味のことを言っていた同僚が

「まあ、時期が同じだと気に入らない奴がむしられるんだけどな」

と言い放った。
その瞬間、理不尽に殴られ続けたり、迫害されていた日々の記憶が一気に
駆け巡った。

「それって伝統と言うなのいじめじゃないですか!」

しかし、さすがにここで面と向かって反抗するのはまずい。
影でこっそりI君に伝えた。

「I君、こういうイカサマで新人からむしる仕組みになっているから」

少しすっきりした。


73:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 03:45:11.53 ID:eaOHjyBQ0

が、その日麻雀にやってきたI君はイカサマのサインに何も言わず、普通に負けた。
翌日。

「お前、チクったんだって?覚悟しといたほうがいいよ?」

いつも通り、嫌な同僚。
お前は中学生か。
だが、その日から麻雀は辛くなった。
自分が良い手でも露骨に振り込む。

「いや、お前に勝たせたくないから。」

それが理由として通り、その振込み分の支払いは裏で戻るルールができていた。
また、麻雀の日以来、I君は自分に配慮した話題を降らなくなった。

社会のルールを理解していなかった自分がいけないのか。
それ以来、会社で仕事の話以外はしなくなった。


74:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 03:45:52.43 ID:eaOHjyBQ0

露骨に振り込む、というのはこっちの手が揃っていると他のメンツが、自分以外に
露骨に振り込むということです。


75:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 03:50:46.09 ID:eaOHjyBQ0

入社して2ヶ月、LとM子ささやかなパーティーをしてくれたのがはるか昔に思えるようになっていた。
自分は明らかに会社に溶け込んでいなかった。

Lに電話で愚痴をいう日が続くようになっていた。

なんで普通に恋愛をして来なかったのか。
なんでドラマを見てこなかったのか。
なんで流行りの音楽を聞いて来なかったのか。

Lは
「ドラマも音楽もなくても生活できるし、話す方法はいくらでもあるよ。
 恋愛だってしなきゃ生きて行けないわけじゃない。
 したらしたで面倒さ。」

と言ったが、恋愛をしたらしたで面倒、というのは理解できなかった。
だって、あんなに素敵そうなのに。
上から言っているようにしか聞こえない。


76:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 03:53:57.52 ID:eaOHjyBQ0

結局、愚痴を言い続ける自分に対して、仕事をこなしながら、普通になる特訓をしようという話になった。
Lは心底いいやつだと思う。
Lは英語仲間のリア充Aを自分に紹介し、Aは自分に名作と言われるドラマ集・今はやっている
音楽集を一欄でくれた。
Aもいいやつで、「ドラマのここが見所!」というような注意書きまで作ってくれた。


77:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 04:00:57.29 ID:eaOHjyBQ0

だが、ドラマを見てもいまいちピンと来ない。
面白いと感じることはあるが、なぜ過去にみんながそこまで熱中しているか
理解できなかった。

A「ドラマというのは時代を反映するから、後から過去の名作を見ても乗り切れない
のかもね。
 その時、その瞬間にみんなで見るのが一番面白いから。」

そして、その時点での見る価値があるというドラマを教えてくれた。
が、やはりぴんと来なかった(と言っても彼によればその時はいいものがなかったらしい)。

流行の歌は恋愛の歌詞ばかりでピンと来ない。
友情とか正義とか言っているような、わかりやすいほどのアニソンが自分の好みだった。
興味が持てないので、聴いても全然覚えない。
この時初めてミスチルを聴いたといえば自分の浮世離れを理解してもらえると思う。

つまるところ「自分の思い描く普通」を目指していたが、結局「普通知っているもの」
に興味がなかったから身にならなかったのだと今は思う。


79:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 04:07:32.53 ID:eaOHjyBQ0

焦るのとは裏腹に「普通」には全然なれない。

そして、その時期にまた1つ事件が起きた。
親戚の死である。
身寄りのない親戚の遺産は、介護から最後の入院まで面倒を見ていた実家に入る
口約束であった。
が、その約束を証明するものがなかったので、ひょっこり出てきたより近い親類に
持っていかれてしまった。
20年間親戚の面倒を一手に見ていた母は、それで体調を崩して寝込んだ。
のみならず、夜中に奇声を上げて突然目を覚ますようになった。

普通になれないことを悩むあまり、眠れない日々が続いていたが、決定的に
寝不足になってしまい、仕事が手につかなくなった。
元々、人より長めに寝ていたので、睡眠不足は非常に深刻だった。


80:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 04:13:44.85 ID:eaOHjyBQ0

昼はなんとか仕事をこなし、夜は悶々とし、休日は普通を目指す日々。
いつしか英語教室に行くのはやめ、服などを買いに行くようになっていた。
初期は丸井の店員に進められるまま買っていたが、Aがついてきてくれるようになった。
M子とも付き合いは続いており、女子視点で服を見てもらった。
幸い、ガリオタだったので服をまともにしたらそこそこ見られるようにはなった気がする。

Lは服なんて気にしないと言っていたが、※なんで参考にならない。


81:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 04:20:00.83 ID:eaOHjyBQ0

仕事は本気でまずかった。
ぎりぎりこなしているといって良い。
夢にまで見た仕事のはずが、手につかなくなっていた。

あとから聞いたが、家の事情を知っているエライ人(自分を推薦した人)がとりなしてくれ
ていたのと、同僚や先輩の所業を報告している別の先輩がいたのでなんとかなっていた
らしい。
しかし、自分と仲の悪い先輩は業界でも有数のやり手で名前を出せばわかるぐらいの
人間なので咎められることもなかった。

もっと努力して伸びないといけない時期なのに、週末はAやM子、Lとあそびにいっていた。
ビリヤード、ダーツ、カラオケ、お買い物…リア充っぽい遊びをしてみたが、どれもピンと
来なかった。
服を選んでいる時も、自分が服を着ている所が想像できないのでいまいち。

やっぱりゲーセンとプレステが一番。
漫画喫茶に入って大部屋で漫画をみんなで読んでいるのも楽しかった。

そんな感じで過ごしているある日、Lが言った。
「M子はお前の事好きみたいだぞ」
まさか、と笑い飛ばした。


82:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 04:32:00.75 ID:eaOHjyBQ0

今考えると、M子と一番接触があった男友達は自分で、しかも話題が合うから
仲良くなっても全然不思議ではない。
だけど、自分を好きになる女子がいるということが当時信じられなかった。
小学校時代から「キモい」という扱いを受け、腐女子とオタクの集まりでも爪弾き。

そして何より、M子から「彼氏が要らなくなった」話を聞いたことがあったからだ。

M子は過去に1度だけ、3ヶ月だけ彼氏がいたことがあった。
M子が好きで、必死に告白して付き合うことになったが、その男はモテる男。
女の扱いが上手いが、浮気が激しかった。
結局、いいように遊ばれて、それ以来男とは付き合いをすることがほとんど
なくなった。
英語部の交流合宿にも行かないほどの徹底ぶりだった。
Lとは自分の手前話すが、Lの過去(この時点では1人彼女がいるだけだが、
大学時代の二股を知っていた)を知っていて、Lのことは好きではない。
かなり潔癖症。
自分と付き合いがあるのは「男っぽいガッつき」を感じないからと言い切っていた。

つまり、M子は恋愛はしないし、自分は対象じゃないと思っていた。


90:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 05:30:13.97 ID:eaOHjyBQ0

しばらくは気に止めなかったけども、Lに言われたことが徐々に気になってくる。
そう思って見ていると、M子がかわいい…ような気がしてきた。
Lと3人だと、いつも自分を挟んでLの反対側に回り込んでいたが、今までは
Lが苦手だからだと思っていた。

が、こうなってみると、自分が好きだからな気もしてきた。


91:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 05:32:51.89 ID:eaOHjyBQ0

こう、コンビニ行く時にわざわざいろいろ「これ?」とか話しかけくるし、
英語サークルの面子でファミレスに行くときも自分の近くにいる気がするし、
ベルリッツ(英会話スクール)に行くときも、一緒の学校だった。
よく考えたら、自分の行っていたベルリッツは会社のそばなので、M子の最寄りではない。

そう言われて3ヶ月。
徐々にM子の様子をみだけで嬉しくなってきたのだった。


92:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 05:37:06.22 ID:eaOHjyBQ0

その間、仕事の調子も徐々に上向きになり、母が調子を取り戻し、
良い感じになってきた。

もしかして、M子と付き合えたらずっと良い感じになるんじゃないか。
自分が普通でなくとも全然問題ないんじゃないか。

むしろ、今こそ学生時代に体験したことのなかったことを形を変えて体験しているのではない。
そう、俺は今普通に向かっている!

と言うことは、自分はM子と一緒にいるべきなのだ。
そして、M子と一緒にいると嬉しいということはM子が好きなのだ!

そう思った俺は、なによりも普通化に手を貸してくれたLに
「M子が好きっぽい」と報告した。


93:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 05:38:58.09 ID:eaOHjyBQ0

むしろ、今こそ学生時代に体験したことのなかったことを形を変えて体験しているのではない。

ではなく

体験しているのではないか。


95:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 05:42:47.74 ID:eaOHjyBQ0

そして、その日以来、月に1~2度のM子と合うチャンスに告白の機会をうかがった。
が、恋愛対象と意識した瞬間に、上手く話せなくなってしまった。

今まで、イギリスとアメリカの英語の違いとか話したり、海外の話とかしていた
(と言っても、実はM子も自分もメールをやりとりしていても海外にはいったこと
がなかった)のに、上手く話せない。
今思うと理由は明白で、相手に気に入られたくて、M子に合わせようとして上手くできなかった
のだ。
ナチュラルに話していれば噛み合っていたものが、できもしない気遣いでちぐはぐになっていた。

なんというか、会話が続かなくて会っても一緒に会うLとばかり話すようになっていった。


96:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 05:47:52.67 ID:eaOHjyBQ0

2ヶ月後、あまりに話せなくて絶望していた。
そこへ、Lがやってきた。

「M子から、自分と話が続かないって悩み相談が来ている。
 お前らいい加減にくっつけ」

そう、Lは自分とM子両方から恋愛相談を受けていたのだった。
この状態になって1ヶ月でそれを明かされていた。
M子は告白されたいのだが、自分もムードを出したい。

夜景の見えるレストランとか、観覧車とか、そういった場所がいいんじゃないか。
そういうのを女の子は望んでいる!という思い込みが自分にあった。
というか、それができたらもうデートしているわけで、見込みが超あるんだが、
まあ、エロコメになる前のラノベの世界に生きる男の思考などそんなものだった。


97:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 05:55:17.26 ID:eaOHjyBQ0

そして例によってLと3人で遊んでいたあるとき。
いつも通りに晩飯を食って、さあゲーセンでDDRでもやって締めるかと思っていた時。
Lは急用ができたといって消えた。

俺の携帯には「2人きりで頑張れ!」という感じのメールが来た。
折りしも場所はカジュアルだがちょっと高いビルの夜景が見えるレストラン。
なんか理由をつけてここを指定されたのだが、そういうことだったのか!

自分「なんかさ、最近うまく話せないよね」
M子「うん」
自分「なんでかな」
M子「さあ、自分君がそう思っているだけじゃない?私は普通だよ」

え、悩んでいるんじゃないの…。
と思ったが、じゃあ二人でじっくり話せばわかるかもとか、そんなことを言って
デートの約束をとりつけた(チキン)。
そして、次のデートで告白してOKをもらったのだった。


98:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 05:57:42.67 ID:eaOHjyBQ0

それから仕事は順風満帆だった。
やればやるほどデート代が貯まるという幸せな頭であった。
いつしか、日本の役に立つ~ではなく、M子と幸せになるために~と仕事の目的は変わっていた。

だが、M子との恋愛は思うように進展しなかった。


99:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 06:06:18.18 ID:eaOHjyBQ0

それまで、恋人が出来れば相思相愛で、いちゃラブして幸せになって結婚するだろう…。
みたいな甘い考えであった。
なんせ、最初からM子と自分は両想いとわかっている。
付きあえばあとは結構トントン拍子に行くと思っていた。

だが、お互いの共通の話題が意外にもネックだった。
自分の仕事はバリバリのアメリカ英語である。
世界で一番通用するアメリカ流が仕事でも使う、便利な英語だと思っていた。
対して、M子は夢見るイギリス派で、「イギリスは~だから素敵」という感じ。

もうイギリスバンザイ。
でも自分は一応英語を仕事で使っているプロで、「いやでも、アメリカはね」
みたいな話をしていちいち反論してしまっていた。
英語は俺のが上なんだという見栄もあった。

そして、それ以外の話になるとM子とは音楽や見ているものの好みが実は全く
合わなかった。
M子はクラシックが好きだった。
普通化計画の中にはポップスしかなく、クラシックは全く門外漢。
聴いてみてもその素晴らしさはわからなかった。
ゲームミュージックバンザイ。


100:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 06:12:17.81 ID:eaOHjyBQ0

以前は楽しかったはずの話題では、自分が妙に強がってM子を不快にさせ、
他の話題では全くついていけずにM子ががっくりする。
また、エスコートというと大げさだが、相手の重そうな荷物を持ってあげよう
とか自分の気遣いはことごとく裏目に出た。
あとから聞いたところによると、たどたどしくてお願いする気になれなかったそうだ。

Lと話していろいろ反省し、とりあえず相手を否定しちゃいけないなということに
気づいた頃にはすでに遅く、M子は自分に幻滅していた。
そして、話を合わせようとするも話を合わせるのは自分の最も苦手とするところ。
露骨に合わせようとする態度がM子の怒りを誘い、クリスマスに別れることになった。


101:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 06:15:25.47 ID:4SRUg1sRO

そりゃ恋に恋してただけだな


103:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 06:23:12.78 ID:eaOHjyBQ0

>>101
まさにその通り。


106:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 06:41:00.88 ID:4SRUg1sRO

>>103
でもお前全然悪くないよ
M子の捨て台詞はマジで最低だわ

恋愛したかったM子がL経由でモーションかけてきて、お前もM子が気になったって流れだろ?
M子は自分の思惑通りの恋愛ゴッコができなくて、お前のせいにして傷つけただけじゃん
Lを引き合いに出すなら、最初っからLと付き合えや!と思うよw

流れ遮ってスマソ


102:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 06:21:30.77 ID:eaOHjyBQ0

「自分君の事を嫌いなわけじゃなくて、好きになれたら幸せになれるって思っていた。
 自分君が、もう少し普通に経験を積んで、L君みたいに女性なれしてればよかったのにね」

正確ではないが、こんな感じの言葉で別れた。
クリスマスプレゼントを用意していたが、悪いから、と断られた。
張り切ってディナーを用意していたが、キャンセルの連絡を入れて帰路についた。
周囲は幸せそうなカップルばかりで、仲良さそうにしているのを見るだけで

「ああ、こんな普通の体験をして来なかったからダメだったんだな」

と自分に対して怒りが湧いてきた。

お分かりの通り、彼女いない歴=年齢の人間に女性の扱いを期待している時点で
M子の要望はずれている。Lは当時超慣れており、L並なんて無理。
あと、最後の言葉は今思い出しても「ないわ」と思う。

対して自分も自分の努力の足りなさや気遣いの足りなさを棚にあげて、経験のせいに
しており、これもまた自業自得。
結局、絶対成立しないカップルだったのだと思う。


104:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 06:36:45.02 ID:eaOHjyBQ0

オタクにありがち(?)だが、1回恋して、結婚して、それで終わりだと思っていたので、
振られたことは天地がひっくり返るぐらいショックだった。
まあ、そんなピュアだからこそまったく職場のシモネタについていけなかったわけで。

「普通に経験を積む」とは何だろう。

M子を振り向かせられなかった自分は悩んだ。
と言っても、ずっと振られないように毎回手を変え品を変えて失敗していたので、
思い返すと付け焼刃はいかん、という結論になる。
しかし、M子に未練たらたらだったので、ベクトルは全て「M子と復縁するなら」
という方向に向いてしまう。
自分の中でM子は世界一魅力的だったので、
「すぐに復縁しないと後釜を狙う男が大量にいる筈だ!」
と勝手に思い込んでいた。

しかし、普通に経験を積んで来なかったのだから、今更普通になるのは無理だ。
女性の扱いと言うか、会話を合わせたり、自然に荷物を持ってあげたりとか…。
とにかく訓練するしかない、足りない時間は訓練で補うのだ!
幸い、M子も自分も行動範囲が狭かったので、別れても顔を合わせることはあった。
具体的にはLの友人、リア充Aが主催する飲み会で顔を合わせるのであった。


105:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 06:40:16.88 ID:eaOHjyBQ0

いろいろLの彼女が協力してくれた。
Lの彼女は「え、普通に話せたし、自然だった」と言ってくれる。

しかし、M子を目の前にするとしどろもどろになり、結局まともに動けずに終わった。
気づいたときにはA主催の飲み会で、露骨にチャラ男であり、かつ女性関係でいい噂を
聞かないSとM子が仲良くなっていた。

俺はSが大嫌いだったので、M子が仲良くなっていたのが苦しかった。


107:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 06:46:20.73 ID:eaOHjyBQ0

そして、1年後。
SとM子は付き合っていた。
そして、表面上きっぱり諦めているふり(さすがにずっと引きずっていると言うのは
気が引けたから)をしているが、未練がモロバレな俺はM子に言われた。

「S君を見習ってみたら?」

S君が世界一嫌いな俺は超苦しんだ。
もちろん、女癖の悪さを見習えと言われているわけではないだろうが、
そもそも「女性だからサービス」みたいな態度がきらいだったのだ。
男女平等でいいじゃないか。

なお、後から知ったがM子の最初の彼氏はSだった。
そして、M子は歴史を繰り返したのであった。

このあたりは原型をとどめているともろにバレるので、かなりアレンジしてあるが
まあ、自分のショックの度合いはそんな感じ。


109:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 06:52:10.53 ID:eaOHjyBQ0

「普通の経験とは…?」

恐らく、もう自然に異性と触れ合って慣れていく機会などない。
成人したら、成人したなりの付き合いがある。
つまり、普通の経験を積んだ男性になるのはもう無理なのである。
それっぽいものにはなれるかもしれないが、そうはなれない。
絶望した。

英語より、アニメよりもM子とくっついて幸せにできる方が重要なはずなのに。

自分はなんてことをしていたんだ!
極端すぎる自分。
お前、それは学生ならいいけど社会人としてどうなんだ。

あれほど好きだった英語やアニメが自分の普通を奪った憎い存在に見え、
アニメを見るだけで嫌気がする有様だった。


112:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 06:55:32.15 ID:eaOHjyBQ0

当然、それは仕事にも影響する。
ある日、出社すると自分の机はなかった。
荷物がまとめられており、有給を消化するように指示が下った。

だが、英語と決別できて清々していた。
もう完全に、貿易に憧れていた自分の姿はなかった。


113:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 07:07:38.16 ID:eaOHjyBQ0

時系列が多少前後するが、職がなくなってからM子とSは付き合い始めた。
絶望して半年ほど職を探すことをしなかった。
失業手当の申請も忘れていた。

「普通とはなんなのか」
「普通ではない自分は何をやってももうとけ込めないんじゃないか」

怖くて何も始められなかった。
しかし、Lが何度も繰り返される愚痴をずっと聴き続け、何度も説得してくれた。
そしてずーっとそれが続いたある日。

「僕は院でやる事が終わってそろそろアメリカに帰る。
 そうしたら自分の話が聞けなくなる。
 それだけが心配だ。」

と言った。
当時、もう人と話すのが怖くて何もできずにいた。
話すと誰もを不快にさせてしまいそうで。
また、自分に付き合ってくれている人も「かわいそうだから付き合っているんだろうなぁ」
と卑屈な状態になっていた。

が、うだうだしつつも自分がダメな状況にいることもわかっており、精神的に
立ち直るきっかけが欲しかった。

Lは本当にいいヤツである。
日本に留学して、最初にアニメの話をした相手で、アニメの趣味が合うから、と
言っていたが、それだけじゃ終わらないほどお世話になっている。
Lの彼女が1人になったのは「彼女が2人いる奴など信用出来ない」と俺が言ったから
だと言っている(俺は信じていなかったが、今はもしかしたら本当かと思っている)。

もう、人と会いたくなかった自分だが、Lが海外に帰る前に…と就職活動を始めた。
つまるところ、就職もできない男が恋人を作ったり普通の暮らしをすることができる
わけがないのだ。
もちろん、M子を幸せにすることもできない(未だに引きずっていた)。
自分は奮起することにした。

この際、全てを忘れて位置からやり直せる職場がいい。
いっその事理系の職場に行こう。
自分がまったく未知のことを勉強し、やっていけるのなら。
「普通」という未知の状態にも、自分を持っていけると思った。


114:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 07:20:20.73 ID:eaOHjyBQ0

そして、なんと中堅の会社にプログラマとして採用された。
PCでメールのやりとりをしていたので、タッチタイピングはできるがそれ以上ではない。
当時はITバブルの残滓が残っており、まだまだ景気が良かったおかげだろう。

その会社では1年先に入社した社員が指導員としてつき、いろいろ教えてくれる。
自分は中途だったので指導員は少しベテランの社員だった。

他の1年目の社員よりも指導員が良かったこともあり、一気に上達した。
「これが出来なければ生きる意味が無い」
ぐらいの気持ちでやっていたおかげだと思う。
それぐらい、新しい職場に再起をかけていた。

シスアドとOracle DBの資格を入社3ヶ月で取得し、
自分が入った年の新人発表会で、自分の作品は1位をとった。

そして、それが見込まれて即座に鉄火場に配属となった。
「すごい新入社員がいるらしい」
と噂されているのが気分良かった。
みんな、仕事重視で、職場ではプログラムの効率の話などが主。
話も合い、楽だった。

が、他の1年目の社員とは年齢が違うこともあり、やはり年配の方としか話が合わなかった。
というか、プログラムを真面目にやっている人としか合わなかった。
事務の女の子はもちろん、SE志望、プログラマ志望どちらも休日をプログラムの
勉強や資格の勉強に当てる人間は少なく、そういった人とは合わなかった。
当時はITバブルの影響で人材不足で、理系だけでなく、文系のプログラムに興味が
ない人間まで取って教育していたからだ。


115:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 07:22:21.79 ID:eaOHjyBQ0

また時間が前後するが、Lは自分の就職を祝い、資格を取ったことを見てまた
祝ってくれ、アメリカの大学院へ移った。
当時、自信満々の自分を見たLは安心して帰ったと思う。


116:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 07:29:13.05 ID:eaOHjyBQ0

そして、2月ごろ。
小学校の同窓会があった。
結構何回も行なっていたらしいのだが、自分が最初の数回呼ばれても全く行かなかった
のでので、お知らせがこなくなっていた。
今回は先生が来られるということで、久々に全員に声がかかった。

バリバリ仕事ができていたこともあり、今行くと何か変わるかなぁとか思って参加することにした。


117:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 07:38:31.73 ID:eaOHjyBQ0

大人になった級友(と書いたが、実際は友達となんか思っていない)は、なんだか新鮮だった。
いじめっ子は結構成功していい仕事についており、いじめの対象になっていたKと自分は
ふたりともプログラマになっていた。
プログラマが悪いわけじゃない。
が、明らかに羽振りがいい元いじめっ子に納得行かない気分はあった。

そして、何よりもむかついたのはこの一言である。

「昔は幼かったからいろいろあったけど、大人になるとあんなこともあったよねって感じだよな」
「まあ、過ぎたことだからゆるしてくれよ」

やった本人は、一応こういってこの後を円滑にしたかったんだと思う。
が、この瞬間に野球部の事件がありありと思い出せた。
それだけじゃなく、「いじめがなければこんな癖はついていなかった」と思い、
失敗してきたあらゆる事件を思い出した。
大げさに言うと、殺したいぐらい許せなかった。
殺さないのは社会人だからだ。

表面上はもういいよ、と言ったが「もう、殴ることもできないし、お前らとは関わりたくない」
という意味でもういいよ、と言った。
自分はKとしかほとんど喋らなかった。
帰り際、Kも言った。

「やっぱり、どんなに大人になっても、今までいじめが自分の人生に影響を
与えてきたことが許せない。
もう、同窓会は来ない」

自分も同感だった。
いじめは多分、やった側が想像つかないぐらい人生に影響を与える。
自分だけでなく、Kもそうだった。
恐らく、他のいじめられっ子も大きく影響を受けているだろう。
絶対に、大人になっても許せないと思っている人は他にもいると思う。


118:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 07:47:59.56 ID:eaOHjyBQ0

区切りが良くなったので、ちょっと仮眠します。
なんだか自分の中では刹那的に書ける気分だったけど、時間がかかりすぎたので。
残っていたらまた書きます。
遅くてすみません。


131:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 23:17:34.89 ID:eaOHjyBQ0

配属された仕事場は、社内でも有名な「火を吹いている」プロジェクトであった。
メインのスタッフはろくに帰れない日が続き、夜遅くまで仕事は普通。
新規システムを作る仕事を受注したはいいものの、その会社は外資系であり、
海外のソフトを使ったシステム構築が必須であった。

その会社は海外ソフトの経験はあったが、折り悪く最新バージョンが出て、
それを使うことが要件とされていた。
最新のソフトはバグが多く、プロジェクトは予定の半分の期間が過ぎているのに
基盤部分(ソフトの基礎となる仕組み)が完成できずにいた。
なお、半分とは1年である。

工程で言えば25%も終わっていなかった。

そんなところに配属されたが、自分は吹っ切れていた。
仕事が出来れば、周囲はついてくる。
プログラムができれば、仕事では評価されるのだ。
やってやる、と思っていた。


132:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 23:23:16.35 ID:eaOHjyBQ0

まだまだ新人だったので、さすがに徹夜や深夜までの作業はさせずに返されていた。
が、それでも仕事場が尋常でないのは分かった。

プログラマ部隊は「基盤ができていればできるはず」のプログラムを書いており、
基盤部分のテストバージョンができては動作検証していた。
が、実際に動かないことが多く、基盤が「やっぱり海外ソフトが動かないので、変更」
となることも多かったのでやる気を失っていた。
プログラマチームは基盤チームの遅れによるしわ寄せが後々来ることがわかっており、
そのせいで両者は険悪。

とんでもないところに来てしまった、入って3日で思った。


134:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 23:36:46.62 ID:eaOHjyBQ0

ここでちょっと職場について説明したい。

この仕事を受けたのは、A社であった。
A社は自分が入社した会社(B社とする)と作業をする予定であった。
が、発注元の会社Z社は元々X社・Y社2つの会社が合併してできたものであり、
社内ではX社派とY社派にわかれていた。

このシステムは「別々だったX社とY社のシステムを1つにまとめる」作業で、
A社は元々付き合いのあったX社派から仕事を受注した。
だが、Y社派はシステムの全てを明け渡すことをよしとしなかった。
元々Y社と付き合いのあったC社を作業チームに強引に入れた。

A社とC社(の少し)が設計し、B社が基盤チームとなり、C社がプログラム
チームを率いている。
いわば混成部隊であった。

A社からは監督が来ているだけで、プログラムにかんしてA社は詳しくない。
全体の作業フローや完成図を書き、監督するのがA社の仕事。
B社がいわゆるIT土方的な仕事をすることになっていた。
C社の下にはさらにD社・E社のような会社があり、プログラマの寄せ集め混成部隊を
率いていた。
なお、B社はプログラマチームにも人員を出している。

発注元も、作業チームも2つに分けられた形で、B社基盤チームは
「A社、最初は新バージョンの海外ソフトを使うなんて言ってなかったのに」
と横槍を入れてきたC社を恨んでおり、
C社系の混成部隊は
「B社が遅いせいで、うちらが割を食っている。
基盤ができたら、徹夜作業が連続になりそうだし、今の仕事は手応えないし
どうしてくれるんだよ」
と思っていた。

上層部はもちろん、ある程度大人な対応だったが、会社も違って、部署ごとに
部屋まで分かれているこの職場では完全に上手く回っていなかった。


135:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 23:45:44.36 ID:eaOHjyBQ0

そんな中での作業だが、自分のモチベーションは高かった。
きっかけは説明を受けて1週間目ぐらいのできごと。

海外ソフトが例によって動作不良の中、英語のメッセージを読んで解決方法
にいきあたったのだ。
当時は最新バージョンはおろか、1つまえのバージョンも英語資料ばかり。

そのまま英語の説明書を読み込み、メーカーの公式ページを読み、次々と、とはいかなくても
そこそこ動作不良の原因を突き止めていった。

Z社は微妙にケチで、海外ソフトの一部のサポートに入っていなかった。
解決したなかでも大きなトラブルはサポートに入っていれば一瞬でかたがついていた
ことが公式HPを見て判明し、Z社に内緒でA社がサポートに加入することとなり、
日本語での質問ができるようになるに至ってプロジェクトは進み始めた。

基盤チームのリーダーには感謝され、ちょっと高い飲み屋に連れていってもらった。
結局英語とは別れられなかったわけだが、役に立っていたので「人生こんなもんか」と
ぼんやり思っていた。


136:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 23:50:06.65 ID:eaOHjyBQ0

基盤が回り始めると、突貫作業が始まった。
プログラマー部隊はやはり深夜作業の連続で、士気は低かった。

自分も指導員の先輩について一緒に作業した。
先輩はすごい。
他の人の作業を一瞬で終わらせ、難しい部分を片付けていく。
B社は嫌われていたが、先輩は一目置かれていた。

また、先輩の働きのおかげか徐々にチームには一体感が生まれ、
ハイになって終電近くまでチームは作業した。

なお、自分はプログラマ部隊といってもテストをするだけの要因だった。


137:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 23:53:33.94 ID:eaOHjyBQ0

要因>要員

自分は会社の規則でどんなに遅くても22時で帰されていた。
守られた環境のなかでもプロジェクトが立ち直るのをみるのは気分が良かった。
しかも、自分がかなり関わっている(はず)なのだ。
この一件は大きな自信になり、1年後にプロジェクトが終わった時には
いろいろやり遂げた感があった。


138:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 23:54:54.10 ID:eaOHjyBQ0

すみません、やっぱりなかなか書くのは難しいので、続きは明日スレが残っていれば。
眠くてもう起きてられません。


140:名も無き被検体774号+:2012/01/30(月) 23:57:26.44 ID:zhKrKNnC0

それでいいよ。
お疲れ様。
できれば続き読みたいのでスレ落ちる前に来てね


147:名も無き被検体774号+:2012/01/31(火) 12:06:10.27 ID:dBaAT+4t0

そして半年。
自分は仕事をバリバリこなしていた。
少なくとも、自分の認識ではそうだった。

調子のいい時はいいことが続くもので、生まれて初めて女子から食事に誘われた。
相手は新人の女の子。
プログラムで詰まっているときに教えた縁で知り合い、ちょくちょく教えていた。

初めての女子からの誘い。
しかも、かなり美人だった。
舞い上がっていたが、努めて平静を保ち(これはいつものお礼なんだ)と自分に
言い聞かせた。


154:名も無き被検体774号+:2012/01/31(火) 20:43:01.88 ID:dBaAT+4t0

とはいえ、女子との食事の時の気合いの入れようは半端ではなかった。
デート用に買った服、髭剃りの刃を新品に変えて髭を剃り、美容院で
髪の毛を切ってのぞんだ。

ちょっといいお店(と言いつつも、1000円をちょっと上回る程度)で
昼飯を食べ、良い感じで話せたと思う。
会話内容は職場の仲間についてとか、仕事について。

そのままゲームセンターへ行き、人生で初のプリクラを撮る。
頑張って文字を書こうとしたが、プリクラの機械は複雑で、ろくに
かけなかった。

その日は用事があったので夕方にはわかれたが、別れ際に次の約束をした。
また、デートしよう、と言われたときは「ああ、本当に誘われていたんだ」
と、感動した。
これはデートなのだ。

そのまますごい勢いでAのところへ行き、報告した。
マリオカートで遊ぶ約束ぐらいすっぽかせ、と怒られた。


155:名も無き被検体774号+:2012/01/31(火) 20:59:57.78 ID:dBaAT+4t0

そして、次回のデート。
行き先を決めて欲しいと言われたので、Aと相談して中華街に行くこととなった。
花火大会があったので、食べて花火を見ようという魂胆である。

カラオケに行き、アニソンを歌った。
と言っても、一般バンドの歌っているアニソンだったので、そこまではオタク臭く
なかった…気がする。
普通の人対策で覚えたミスチルとスピッツも歌ったが、アニソンと比べて明らかに
ど下手であった。

そして、飯を食べて花火を見て帰宅する…わけだが、どうにも会話が弾まなかった。

「好きな芸能人のタイプ」
「好きなドラマ」
「学生時代の話」

女子(いまさらだがJとする)は超スイーツであった。
ドラマは超詳しく、普通対策でちょっと摘んだぐらいの知識では話に
ついていくことも不可能。
自分はジャニーズとか名前全員言えないレベルである。

Jの性格が悪いわけではない。
ただ、スイーツ的な会話についていけなかった。


156:名も無き被検体774号+:2012/01/31(火) 21:26:50.20 ID:dBaAT+4t0

また、Jが自分のことを好きかもしれない、と思うといつものぎこちなさが顔を出してきた。
女が自分のことを好きになることなどない、ただ仕事の付き合い上か友達以上
としてはない、そう思い続けている間はいい。
が、それが一旦破れるとどうしていいかわからなかった。

似ている芸能人とか、明らかに話しやすいと思って話題を振ってくれているのは
わかる。
が、答えられないし、答えられない度に落ち込んで口数が少なくなっていった。


157:名も無き被検体774号+:2012/01/31(火) 21:31:56.15 ID:dBaAT+4t0

決定的なのはラブホテルに行ったことがあるか聞いてきた話だった。
Jの中ではラブホテルに行ったことがあるのは普通だっただろうし、昔彼女が
いたから行ったことあると思っていたのだろう。

だが、M子とは手をつなぐのが限度で、ラブホテルなど夢のまた夢。
自分は恋人に逃げられたが、いい大人が付きあえばSEXぐらい当たり前なのだ。
Jは自分に普通を期待しているだろうが、自分はそうではない。
M子と上手く行かなかった過去を思い出し、そしてラブホテルを話題に出せる
Jとの壁を感じてしまった。

Jは終始無理にテンションをあげようとしてくれた。

「○○だって面白いね!アハハ!」
「あそこにある○○すごくない!?」

など、Jが頑張っていることが伝わりながら、自分は何も面白く思えない状態になっており、
花火の帰りはほぼ無言であった。

結局のところ、自分は普通では無いのだ。
普通に生活している女の子と仲良くなってみたいが、遠い存在だ。
新天地で仕事に没頭することで過去の自分を忘れていたが、結局何も変わっていない。
次の日から、Jとはあまり話さなくなった。


158:名も無き被検体774号+:2012/01/31(火) 22:01:55.39 ID:dBaAT+4t0

そんな事もあり悩む日々が続いたが、仕事は順調だった。
プログラマは現場作業(発注元の会社に行って仕事する)が多く、現場はほとんどが
男だったので、女子に対する劣等感みたいなものは忘れることができた。
時々、受付の誰それがかわいい、という話があると嫌な気分になったがそれだけだった。

さてそんな同僚、プログラマの話題では決まってというほど修羅場話というものがある。
どれだけひどい職場を切り抜けたか、という不幸自慢である。
まあ、実際に切り抜けるだけのキーになる仕事をしたのであればすごいのだが、実際には
「48時間ぶっ通しで仕事した」
「残業時間が100を超える月が何ヶ月」
などなど、あまり羨ましくない自慢大会である。
そんな中、自分の先輩(入社以来お世話になっている指導員)は言った。

「プログラムの作業で詰まるところは自分が肩代わりして、自分が仕切る現場では
徹夜がないのが自慢。
あまり寝なくても良い体質だから、毎日4時間寝て、出社までは3時間勉強、後は適当に仕事。
勉強をきっちりしていればそんな残業する必要ないし、スキルアップできるよ」

超かっこいいと思った。


159:名も無き被検体774号+:2012/01/31(火) 22:06:22.75 ID:dBaAT+4t0

その日から、自分は先輩を目指そうと思った。
その先輩はDIABLOやエイジオブエンパイアなどのPCゲームの話が多いので、いつ
ゲームして、いつ勉強しているのか不思議に思っていたが、睡眠時間が少ないのか!

そして、毎日10時間近く寝ており、休みの日は最低12時間寝る自分が寝過ぎなのも
不幸自慢大会からわかってきていた。
休みの日を有効に使って、自分もスキルアップする。
先輩ぐらいできるようになれば、新しい地平が目指せる気がした。
また、同時に自分が寝るために早く帰ることが会社で話題になっており、正直いい気分
でなかったので、この機会に何とかしようと思っていた。


160:名も無き被検体774号+:2012/01/31(火) 22:10:52.52 ID:dBaAT+4t0

自分は計画を立てた。
3日ごとに、15分ずつ早く起きよう。
ナポレオンは全然眠らなかったという。

※実際は細かく分けて睡眠をとっていたらしい。

徐々に短くしていけば、体も慣れ、睡眠の質が良くなって短時間の睡眠でも
先輩みたいにすっきり目覚めるに違いない。
自分は計画を実行した。


161:名も無き被検体774号+:2012/01/31(火) 22:13:32.87 ID:dBaAT+4t0

2時間ぐらい早起きして思った。
1日が長い。
超長い!

朝早く起きて会社に行き、いろいろプログラムの実験をするのは楽しかった。
こいつは凄い。
そのせいか週末はいつもより長く寝ていたが、時間の収支では間違いなく
起きている時間が増えていた。


162:名も無き被検体774号+:2012/01/31(火) 22:16:36.06 ID:dBaAT+4t0

「いやあ、今まで10時間寝てたのが信じられないですよ。
自分は、これから残業もこなしますよ!」
などと会社でも明るく話した。
会社内でいろいろ言われていたのも、これっきりである。
気になっていたことが解消されようとしていて、非常に軽快な気持だった。

が、やはりそうは行かなかった。
睡眠時間が7時間になったとき、自分はヘルペスを発症した。
医者の診断は睡眠不足だった。


163:名も無き被検体774号+:2012/01/31(火) 22:20:03.59 ID:dBaAT+4t0

「睡眠時間は人それぞれだから仕方ないですよ。
自分さんの場合、10時間が適正な体なんでしょう。」

この時、睡眠時間のことがコンプレックスだったので、衝撃は大きかった。
自分の第2の人生でも、普通に生きて行けないのか、と思った。

「たまごっちを作った人も、普通には起きれなかったらしいですよ。
人間の価値は睡眠時間じゃないですから」

医者にそう言われても、自分の中では真のプログラマとは先輩であった。
自分は先輩になれないのだ、と思うと悲しかった。


164:名も無き被検体774号+:2012/01/31(火) 22:32:22.19 ID:dBaAT+4t0

新しい目標を見つけられないまま仕事は続く。
英語はできて資格も取ったが、自分はプログラマとして凡庸だった。
資格なんか覚えれば誰でも取れる。
最先端のことをしていれば英語も役に立つが、大抵の仕事は日本語のマニュアルがあったし、
Googleの検索結果やWEB解説も飛躍的に充実してきていた。

当然ながら先輩のように職場から徹夜を消し去ることはできないし、最初の職場のように
特別にできる人間とも思われなくなった。
1回の仕事のサイクルは3ヶ月ぐらいだったが、サイクルの末期には大抵修羅場が来る。
それでも深夜作業をしない自分は職場で毎回浮いていた。

「自分さんは、睡眠時間が短いと倒れてしまう体質なんです」

と、毎回リーダーが説明してくれていたが、実際に寝ているので血色はいいし、
どうみても病気に見えない。
他のメンバーが懐疑的にと思っているのがありありと見て取れ、帰宅時は背中に刺さる視線が痛かった。


165:名も無き被検体774号+:2012/01/31(火) 22:43:24.85 ID:dBaAT+4t0

なんで自分はこんなに寝るのか?

小学校の時、いじめられて泣いて帰ってきて、そのまま布団で夕方からずっと
寝たから癖になったのか?
一時期やったオンラインゲームで生活が乱れたのが良くなかったのか。

悩んだが、どうにもなるものではなく、悩み損だった。


166:名も無き被検体774号+:2012/01/31(火) 22:48:57.21 ID:dBaAT+4t0

第2の人生を歩むはずだったプログラマとしても居心地が悪くなり、職場では
口数が少なくなっていった。
自分はどうにかしようと徹夜しないまでも長めに残業し、土日はその反動か夕方
ぐらいまで寝ていた。
一日が終わってから起きるというのは一種の絶望感があり、自分は普通には生きられ
ないのだ、と思って悩んだ。

もちろん、腕が動かないとかそういった症状に比べれば遥かに恵まれていると言える。
だが、やはり普通に寝て起きて、普通の学生時代を過ごして(だが、職場のプログラマは
元いじめられっ子も結構いた)、恋愛して、というステレオタイプに憧れる気持ちは
日に日に強くなっていった。


167:名も無き被検体774号+:2012/01/31(火) 22:50:30.04 ID:dBaAT+4t0

Aの言葉を借りれば「かわいそうな自分」に溺れている状態だった。

というところで、すみませんが今日は寝ます。
仕事のことはラストに書こうと思います。
まるっきりニートというわけではないのです。


171:名も無き被検体774号+:2012/02/02(木) 00:01:15.51 ID:0Z4cmK/Q0

普通とはなんなのか。
考えてもわからなくなっていたこの頃、リア充っぽい人間のところに入っていくことにした。
そして決めたのが、演劇入り。
大学生・社会人を中心に集まる、ゆるい演劇サークルのようなものに入った。
つまるところ、音楽などの芸能系というものは自分にとって手に入らない普通の象徴だったからだ。
無理矢理にでも輪に加わってみる事で、自分が興味を持てないところにも興味が持てるかもしれないという判断だった。

劇団は予想していたものとは違った。
劇団の主催であり、常に頭をかきむしっている脚本家(小説家志望)のKは見るからにオタクな風貌。
劇団員は女子から男子までお洒落な格好をしている人が多かったが、話してみると生活が逼迫していたり、
演劇が好きすぎて「こいつやばい」と思ってしまうような人が結構いた。

もう、相手構わず思ったことを言って行って、ダメだったらそれまでと特攻した。
会話しなければ会話の上達もありえない。
が、存外うまくいくもので、「思ったことをぶっちゃけるキャラ」として定着した。

さすがに初心者なので、ほんのチョイ役しかもらえなかったものの、PCを使ってチラシを作成したり、
手書きの台本を製本したり(これがかなり大変だった)する人間が劇団内にいなかったため、役どころも裏方ですんなり
落ち着いた。

そこそこ全体と仲良くしていたが、バンドと掛け持ちをしているアニメオタクのS、女優志望のNとは帰宅の方向が同じで特に仲良くなった。
(と言っても、一緒に遊ぶほどではない)
Sとはアニメ関連で仲良くなれたが、Nはちょっと不思議だった。
話しているとまあ、会話が途切れないのだが、心底楽しそうでもないような。
掴みどころがない感じ。
他の女性相手は緊張したが、N相手はなぜか女性を感じないと言うか、美人なのに緊張しなかった。


172:名も無き被検体774号+:2012/02/02(木) 00:01:59.92 ID:0Z4cmK/Q0

劇団としてはゆるめのこの場所で、唯一本物の女優を目指しており、事務所に入っていて外見も演劇もレベルが違う。
Kの知り合いという理由で顔を出していて、劇団でもちょっと浮いている感じだった。

劇団ではいろいろあったのだが、今回のこととは関係無いので省く。
その後、チョイ役ながらも劇団は続いていくのであった。
自分はその輪に加わることで「普通になりつつある」と自身をつけて言っていた。
精神安定のために重要な場だったといえるだろう。


173:名も無き被検体774号+:2012/02/02(木) 00:02:15.84 ID:n6p8gVTy0

さて、その頃同時にGREEを始めていた。
といっても、GREEはまだゲームをする場所ではなく、mixiのようなSNSだった。
劇団で自信をつけた自分は、オフ会に参加することにした。
簡単な台本で、アドリブを入れつつ、即興で劇っぽくするというオフ会である。

当日になってみると、自分が馬違いすぎて焦った。
GREEで知っている人は1人。
10人程度いてもGREE会員は3人だけだ。
現役の劇団員のGREE会員とそれに誘われた劇団員だけ。
顔つきが皆、違う。
ゆるいサークルはやはりゆるかったのだ。

「演劇は小学3年から…」

などと事故紹介する中で、自分だけ

「半年前」

と言うのはかなり気が引けた。
最後まで自己紹介を終えると自分以外の最短は別の女の子が1年で、それ次は4年のキャリアがあった。


174:名も無き被検体774号+:2012/02/02(木) 00:02:33.58 ID:0Z4cmK/Q0

即興劇が始まると、皆大げさな身振りで、芝居がかった様子でセリフを言っていく。
何かしら、いろいろ有名な劇のパロディなどを入れているようだが、まったくわからなかった。
そして、自分はつっかえながら台本通りに読むだけ。
非常に短い台本だったが、次第に自分は役を割り当てられなくなった。
とは言え、相手が凄すぎただけで、今回はそこまで落ち込んでいなかった。

もう1人、キャリアの浅い女の子も同様だったが、こちらは男性劇団員の強烈なフォローで輪に入っていた。
可愛い女の子というのは特だな、と思って少し拗ねた。


175:名も無き被検体774号+:2012/02/02(木) 00:03:16.54 ID:n6p8gVTy0

オフ会の最後は飲み会である。
誰とも打ち解けなかった自分は辞退して帰ることにしたが、帰りの駅の改札で先ほどのキャリア1年の女の子とばったり会った。

「あれ、飲み会は?」
「みんな凄すぎるから溶け込めない気がして帰ることにしました。
茨城だから、遅くまで入れないし。」
「ああ、じゃあ東京までは一緒だね」

という感じで、一緒に帰ることになった。
キャリアの短い女の子の名前はOと言った。

「自分さんが先に半年といってくれたから、1年って言えた。
あの場ですごい度胸だよね。」

と言ってくれた。
そういうほめられ方をしたのは初めてだったので、緊張しながらお礼を言った。
そのまま話の流れで、一緒に食事をして帰ることになった。
Oは落ち込んでいた気分を変えるためにきたが、演劇は実際3ヶ月目でやめてしまったという。
だから実際は3ヶ月なんだ、と教えてくれた。

しかし、Oの緊張ぶりは並ではない。
ガチガチである。
自分がわかるぐらいだ。
おかげで逆に緊張が溶け、ぎこちないながらも自己紹介をし、メールアドレスを交換してわかれた。


176:誰でもない人:2012/02/02(木) 00:07:30.40 ID:U1VP9YuK0

オレは人生なんて年月がたてば立つほど悪化していくものだと思ってる。


177:名も無き被検体774号+:2012/02/02(木) 00:16:51.51 ID:0Z4cmK/Q0

その後のOは非常に積極的だった。
携帯が面倒と言ったらGREEでメールをやりとりし、毎日のようにメールには返事がきた。
1日に5往復以上したこともある。
その頃、仕事は閑職というか、暇がある仕事だったのも幸いしてコミュニケーションははかどった。

また会おうという話になるまで時間はかからなかった。
初めてあってから1月後、今度は都内で2人であった。
緊張しながらぎこちなく原宿を歩き、あまりの人の多さに驚いたり、着ぐるみが歩いていることにビビったりしていた。

話を聞けば聞くほど、Oは女版の自分だった。
学生時代から同級生と上手く行かず、変な子として扱われてきた。
中学卒業後、いじめを避けるため高校には行かずアルバイトと、実家の祖父母の介護。
友達はほとんどできず、家のペットと家族が一番大切という人生を送っていた。

彼氏は何回かできていたが、分かれていた。
どちらかと言うと、捨てられたようだった。
こうこう、こんな努力をしてもやっぱりダメだった…という体験談を語ってくれた彼女は、まさしくM子の時の自分だった。

最後の彼氏を2年ほど引きずり、気分転換も兼ねて劇団に入ったが上手く行かずに退団。
いろいろなものを試して、必至に友だちをつくろうとしていた。

彼女は、普通に学校に行って、普通に友達を作って勉強してみたかったと言っていた。


185:名も無き被検体774号+:2012/02/02(木) 22:04:50.21 ID:0Z4cmK/Q0

Oの話は衝撃的だった。
自分の周りには自分の持っているものを羨ましがる人間はいなかったからだ。

「それだけオタク活動にのめり込めるのが羨ましい」

とは言われたことがあるが、いわゆるリア充の方便にしか聞こえなかったが、

「学校で大勢の友だちを作って勉強してみたかった」

と言って、自分を羨ましがるのは本音に思えた。
普通にいろいろなことをしてみたかったけど出来なかったという話にはえらく共感できたし、
自分の嫌いなタイプの女が彼氏を奪っていったという話ではM子がSとくっついたことを思い出して
うんうん頷いた。

「同性の友達が多い方が、異性の友達がいる男よりかっこいい」

と、Oは褒めてくれた。
自分としては、異性の友達もいるリア充的な「普通」が欲しかったのだが。
このあたりは放っておいても男子が寄ってくるOと、自分の違いなのだろう。

そんな話をしてから、Oとは毎日電話するようになった。
そして1ヶ月後にはOと自分は付き合うことになっていた。
Oの普通が「告白されたい」ということだったので、自分から告白した。


186:名も無き被検体774号+:2012/02/02(木) 22:05:05.86 ID:0Z4cmK/Q0

なんだかんだで、(あまり触れていないが)自分にはアニメ関連で多くの男友達がいたし、中高からのオタク仲間もいた。
なので、友だちを作る手伝うこととなった。

「日記にはあまり不幸話を書かないほうがいい」
「コメントを付けるときはありがとうとか書くといいよ」

などなど、GREEを通じて友だちを作る方向で指導した。
オフ会に一緒について行ってあげたり、メンバーが少数で心細いときはついて来て欲しいと頼まれた。

Oは男との会話は普通にこなせていたが、反面女子との会話が苦手だった。
女友達を作りたくて仕方ないのに、女子の前では緊張して上手く話せない。
前にした「同性の友達が多いほうが~」という発言は実感のこもった本音だった。

自分との最初のときは、単に初対面で緊張していただけらしい。
徐々に交友が広がっていき、「○○ちゃんとメールのやりとりが3回続いた!」などと報告してくるOを見ていて嬉しくて仕方なかった。


187:名も無き被検体774号+:2012/02/02(木) 22:05:58.39 ID:0Z4cmK/Q0

そして、Oも自分の「普通」を補完してくれていた。
手料理を作ってくれたり、旅行に行ったり、カフェに行ったりと「普通」を満喫させてくれた。
自分もそれまでの人生で、最も「普通」が満たされていた。

Oは男性経験が豊富だったが、常に「慣れていないから浮気しなそうだし、わかりやすくて嬉しい」と、
自分のぎこちなさや、経験のなさを見るたびに喜んでくれた。
「この年齢でそんな慣れていない男がいると思わなかったから、幸運」と言ってくれた。
自分の普通でなさが喜ばれるという、非常事態にびっくり。

いろいろ怒られることも多かったが、Oの懐は深かった。
自分の様々なミスを「私もできないことがあるし」とゆるしてくれた。
今思うと、自分と同じくOは自己評価が低かったからなんだなぁと思う。


188:名も無き被検体774号+:2012/02/02(木) 22:10:21.53 ID:0Z4cmK/Q0

ここまで書き溜め分。
当面の仕事が決まったので、なかなか時間がとれなくなってしまいました。
(最初の書き込みの翌日まで無職)

思ったよりも文を書くのに時間がかかるのもあり、すごい簡易で最後まで
書いてしまった方がいい気がしますがどうでしょうか。
2chでよくある人生を語るのような超悲劇でも、スーパー逆転劇があるわけでもないです。



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